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Amber Tournament 2010 第7~11R

Magic on Chessboards - 土, 03/27/2010 - 03:19
~   Amber Tournament ~   第1Rでイヴァンチュクがカールセンから2勝したのはラッキーパンチではなかった。 彼は唯一の無敗で大会を終えている。 最終日も冴えていた。 ゲルファンドを血祭りに上げた。 一方、カールセンはブラインドでブランダーを指してグリシュクに敗けている。 最終的な順位は後述。   第13R (Rapid) V・イヴァンチュク vs B・ゲルファンド (1-0) ペトロフディフェンス http://www.chessgames.com/perl/chessgame?gid=1578590   22.Rxg4!   駒の配置から察するにすでに白が良さそうで、後はどう仕上げていくか、だ。 イヴァンチュクのメイティングアタックがエクスチェンジサクリファイスで幕を開けた。   22...Bxg4 23.Ng5! Be6 23...Bxe2? 24.h7+ Kh8 25.Nxf7# の狙いがあるため、黒はf7をフォローしなければならない。   24.Bd4 今退いてきたe6のBにスレットをかけて、上記のNf7#を狙う。 25.Qxe6 Rxe6 26.h7+ Kh8 27.Nxf7#   24...Qa2  Bに紐をつけて守った。ちなみに 24...Bd5 には 25.Qf3! が好手になる。   25.Rg1 c5?  詰め路に入った。7手詰め。   26.Bh7+ Kh8 27.hxg7+ Bxg7 28.Nxf7+ Bxf7 29.Bxg7+ Kxh7 30.Qd3+ Kg8 31.Bf6+ Kf8 32.Qxd6+ (1-0)  32...Re7 33.Qxe7# でおしまい。     ~   大会結果 ~   Blindfold (目隠し) 1位 A・グリシュク 8.0/11 2-4位 M・カールセン V・イヴァンチュク V・クラムニク 6.5/11 5位 B・ゲルファンド 6.0/11 6-8位 V・ガシモフ S・カリャーキン P・スビドラー 5.5/11 9位 L・アロニアン 5.0/11 10位 R・ポノマリョフ 4.5/11 11位 J・スミーツ 4.0/11 12位 L・ドミンゲス 2.5/11   Rapid (早指し) 1-2位 M・カールセン V・イヴァンチュク 8.0/11 3-4位 S・カリャーキン V・クラムニク 6.5/11 5-7位 L・アロニアン V・ガシモフ P・スビドラー 6.0/11 8位 B・ゲルファンド 5.5/11 9-10位 A・グリ シュク R・ポノマリョフ 4.5/11 11位 L・ドミンゲス 2.5/11 12位 J・スミーツ 2.0/11   Combined (総合) 優勝 V・イヴァンチュク M・カールセン 14.5/22 3位 V・クラムニク 13.0/22 4位 A・グリシュク 12.5/22 5位 S・カリャーキン 12.0/22 6-8位 V・ガシモフ B・ゲルファンド P・スビドラー 11.5/22 9位 L・アロニアン 11.0/22 10位 R・ポノマリョフ 9.0/22 11位 J・スミーツ 6.0/22 12位 L・ドミンゲス 5.0/22   カールセンの優勝にいちいち驚くのは止めておこう。 1対1でのマッチはともかく、複数人での総当たりの大会だと彼からポイントを削れる棋士が限られている以上こうなるのは必然だ。 不運なのは、最終日のブランダーでブラインドの首位を逃し完全優勝のチャンスをふいにしてしまったことか。 イヴァンチュクは初戦で首位に立った後は確実にポイントを重ねていき終始上位にとどまり続け、ベテラン健在を印象付けた。
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11th European Individual Championship 2010 ②

Magic on Chessboards - 火, 03/23/2010 - 03:53
~   11th European Individual Championship 2010 ~   優勝したのはI・ニポンニシ、スコアは9.0/11だった。 B・ジョバハとA・ティモフェーエフが8.5/11。 タイブレークで前者が2位、後者が3位。   入賞者ではなくソコロフから紹介棋譜を。 余談だが本譜のような序盤の組み方を白番の私はよくやる。   I・ソコロフ vs F・カルアナ (1-0) セミスラブディフェンス http://www.chessgames.com/perl/chessgame?gid=1576875   22...Bxg2   23.d7 で白が良くなりそうに思えるし、実際そうなる。 23.d7 Nxd7 24.Rxd7 Qg5 25.Nxf7 Bf3 26.Nxg5 Bxe2 27.Nxe6 Bc4 28.Rxg7+ Kh8 29.Rg6 23.d7 Bd5 24.dxc8=Q Qxc8 等で白のポーンアップやエクスチェンジアップの局面にできる。   でもソコロフは違う。 23.Nxf7?! と指した。 正否はとにかくカオスな局面で攻め立てるのがソコロフの棋風であり魅力だ。   23...Kxf7?  気前よく応じてしまったのが間違い。 23...exf5 としてQ交換を目指すのが正着。 23...exf5 24.Nxd8 Rxe2 25.Rxe2 Bf3 26.Ne6 Bxe2 27.d7 Rd8 と単純化していけば、昇格できないdポーンは弱点となり、黒が良くなっていた。   24.fxe6+ Kg8 25.Kxg2  強い後ろ盾を持ったコネクティッドパスポーンが6ランク目にできてしまった。   25...Rc5  d7でのR両捕りを避けつつ、Rg5+の反撃を用意をした。   26.Qf3 Kh8 27.d7 Re7 28.Rd6  白の狙いは28...Rxc6 29.Qxc6 で 30.Qc8   28...Nxd7 29.Red1 Rg5+ 30.Kf1 Qf8 31.exd7 Qxf3 32.d8=Q+ Kh7 33.Qxe7 R得で白の勝ちだと思ったらまだ早い。   33...Rf5! 34.Qh4 もし 34.Rd2? で守っていたら 34...Qh1+ 35.Ke2 Qf3+ でパーペチュアルチェックのDrawになってしまう。   34...Re5  今度は 35...Qh1# のスレット。 35.Kg1 Rg5+ 36.Qxg5 hxg5 や 35.Qg3 Qe2+ 36.Kg1 Rg5 で 2R vs Q に変換されて決着には至らない。   35.Rxh6+!  R得 を返還してでも主導権を取り戻した。 ソコロフはAttackerだ。 駒得を安全に守りきる勝ち方より攻め抜くことを選ぶ。   35...gxh6 36.Rd7+ Kg6 37.Rd6+ Kf7 38.Qc4+ Ke8 39.Re6+ Rxe6+ 40.Qxe6+ Kd8 次に b6 か h6 のポーンをチェックをかけつつ捕ることができる。   この後66手目までQエンディングが続くが、ソコロフは主導権を手放さず、黒ポーンを殲滅させた。
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