寅金回遊録 その三

<棋士の社会的地位>

アマが一定の基準をクリアし日本将棋連盟の奨励会に入会し、
入会金を払い奨励会内で勝ちぬき四段になると<プロ認定>され、
連盟の正会員の地位を得ると同時に「先生」と呼ばれる立場になる。
奨励会を抜けれるのは年に4人であり、
数多有る「プロ競技」の中でも最難関と言うことらしい。

難関を抜けたからには幸せが待っているのかと言うとそうでもないらしい。
薄給は確保されるが結局は棋戦に勝たないと3年で順位戦引退勧告を受け、
制限された一部の棋戦にしか参加できないばかりか、
同じ棋士から蔑まれる事になるから大変だ。

でっ、一般社会から見るとどうなるのか?
将棋ファンは自分よりもはるかに強い棋士を、
「先生」と呼び尊ぶのは必然なのだが、
将棋に関する部分だけを「先生」と言う事は中々通じないと見える。
私と同年に谷川浩次と言う名人経験者が居る。
ある酒席の雑談の中で彼が社会人の生き方を語っているのを聞いた事が有る。
一見謙虚な言葉を選んで語っていたのだが、
中身は社会全般の名人で有るかのごとく高い位置からの中身で有った事に驚い
た。
彼は、芸事である将棋に関する業務にしか就いた事が無いのに、
日々社会そのものに揉まれ足掻き光明を見出すことで命を繋ぐ
社会人に社会人の道を語るなど、
芸達者だからと言って将棋村以外で語って良いものなのかと感じた。

将棋村の皇太子として一般社会と隔離されていると、
元来穏健で謙虚な谷川九段でさえ木の最頂点から更に飛ぼうとしている事は、
幸せなのか不幸なのか・・・

さて、将棋棋士は一般社会の視点ではどう見られているのか?
「頭良いんだろな~」
「将棋で飯食えるなんて羨まし~」
「日本の伝統の継承者だから大事」

彼らは将棋棋士は日本で20人位だと思っているのでこの様な意見がある。

プロは百人以上居て年に10数局しか指さない棋士が多いと知ると、
皆呆れる事となる。

飛びぬけた芸達者だと保存すべき対象となるが、
ただ単に将棋が強いだけでは認められないのが普通の感覚の様である。

日本将棋は平安の時代に始まり、
江戸中期に本因坊から将棋名人を譲り受けた大橋宗桂名人が将棋所となり、
近代へと続く将棋文化が始まった。
当時は名人とその分家の筆頭者とそれぞれの弟子で成り立っていた。

尊敬されるのは各家の筆頭3人だけであり、
高弟であってもその他多勢である。
幕府から扶持は貰うが微々たるものであり、
免状収入と教授料で生活を賄っていた。

高弟であっても副業に精を出し生きて行かねばならない世界であった。

さて、現在の将棋界はとみれば、
「先生」が溢れかえり奨励会を突破したのちはボチボチ将棋にさえ勝っていれ
ば、
日々暇を持て余し、仕方無しに研究と言う名の普通の努力に勤しみ、
天下太平の世を謳歌する日々である。

現代の将棋所と言えば名人が兼務するのかといえばそうで無い。

一期のみおこぼれで頂戴した最高齢名人を奇貨とし、
引退した老害棋士が将棋界を牛耳って居る様である。

一般社会においても尊敬されるだけの人格で有れば、
それも有りかなと思ったりするが、
将棋村の棟梁が一般社会人であるファンに矢を向ける事も有るから始末に負え
ない。

一見悪口に見える社会からの批判は受け付けないと言う暴挙に出た様だ。

鯨も少なくなったから保護しようと言うのは判るが、
イワシが高級魚になる程鯨が増え暴食が増したら、
無駄の無い鯨を又食べようと言うのは普通の感覚だと思う。

日本社会の鯨的シーラカンスは数匹で良いと思うのは私だけだろうか・・・

投稿者: 寅金 投稿日時: 木, 11/19/2009 - 03:53 categories [ ]

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誰が「諭す」べきか

>一見謙虚な言葉を選んで語っていたのだが、
中身は社会全般の名人で有るかのごとく高い位置から(中略)
社会人に社会人の道を語るなど(中略)、
将棋村以外で語って良いものなのか

頼みもしないか,多少水を向けた程度なのに,同年者に偉そうなことを得々と説かれたら,将棋掲示板切っての〇〇〇(考慮中)が,立場上かTPOか相手のプライドや御機嫌を損ねぬよう応対しながら,心底から軽侮憐憫の情を持ったやも知れぬ.

一方で,相手を或る程度か大層か尊敬している者が,自分が自分に言い聞かせて居るようなこと,平素か最近か考えたようなことを一所懸命話すということも有るでせうが,そういう状況とは別だったようで御座いますな.

谷川氏の方を持つわけでは有りませぬが,お寺さんの生まれだから,高い目線で話すことがDNAにも混じっているかも知れませぬな.

あるいは通常のファンサービスのつもりだったかもしれぬ.そういうことを低姿勢で訊きたがるファンは多う御座いませう.

一昨年になるか切符をもらって,日経だったかのビジネスマン研修のための講演シリーズの1回目だったかで羽生氏の話を聞いたことが有りまする.相当な金額を支払い一心に何かを得ようとして講話を聞き質問している参加者(受講者)達に悪いので,女性の将棋の能力について政治も含めて質問して見たかったが,立場上遠慮しましたな.本トピックの見地から講演の感想を書くこともできまする.

この種のことで,未だに思い出すのは,湯川秀樹氏が政治その他を得々と語ることに,反発して批判した評論家が少数居たこと.当時の社会的状況では「蟷螂の斧」だったが,三分以上の理は有ったもの.愚は大学に入ったばかりだったが,自分の進路選択とも絡んで印象に残って居りまする.

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